石垣島:カラ・カルスト地域と域外の主要洞窟に生息する絶滅危惧種コウモリ類の生息実態に関する学術調査(2014年2月)報告
- カラ・カルスト地域学術調査委員会
- 代表者:船越公威(鹿児島国際大学国際文化学部教授)
- 助成金額:62万9千円
目的
カラ・カルスト地域学術調査委員会では、これまで主にカラ・カルスト地域に生息する絶滅危惧種コウモリ3種の学術調査を7回実施し、それらの結果は報告書として公表してきた(カラ・カルスト地域調査学術調査委員会2006、2007、2008、2009a、2009b、2013) ※ http://www。pronaturajapan。com/archive/outcome/karaも参照
今回は、2006年以降中断していた冬季のコウモリ類調査を、新石垣空港開港後の影響を評価するために実施した。
また、カラ・カルスト地域外の主要洞窟について、できるだけ多く調査し、それらの結果を踏まえて、総合考察と保全への提言を行うことを目的とした。
成果の概要
冬季のカグラコウモリとヤエヤマコキクゴシラコウモリの経年変動をみたところ、減少傾向にあった。そこで両種の個体数変化の回帰分析を行った結果、明らかな減少が認められた。周辺環境が改善されることなく、一方で人為的改変が進めば、カラ・カルスト地域における冬季の個体群はいずれ消滅の危機を免れないだろう。
今後、空港周辺地域の開発やリゾート開発等が予想され、コウモリ類への影響が懸念される。開発事業については、事前に戦略的アセスメント(事業の意思決定段階や適地選定段階で実施されるアセスメント)を実施して、生息域の保護・保全に真剣に取り組むべき時期にきている。
(本文より一部抜粋)